【アウトプット】高校授業準備 生徒が「できるようになる」ために最も必要なこと

仕事

はじめに

生徒の学びに対するモチベーションは何を思い浮かべるでしょうか。

進路決定、興味関心、隣の席のあいつにテストで勝ちたい、お小遣いをあげてもらいたい、先生に怒られたくない、などなど。様々な内発的、あるいは外発的な動機づけが考えられます。

私が、授業内で大切にしているのは、「できるからおもしろい」。特に物理というのは、得てして苦手意識を持つ生徒が多い科目です。だからこそ、「意外とできる」が効くのです。

派手な実験で、見て楽しい、おもしろい。それだけでは、1時間惹きつけるのがやっとです。

物理の授業は、脳みそ沸騰するほど疲れるけど、楽しい

こんな言葉を言われたことが複数回あります。勉強はfunnyではなくinterestingであるべきなのです。

そんな思想をもつ私が授業を組み立てる際に最も大切にしていることがアウトプットです。

アウトプットの機会の作り方

授業内のインプットをミニマムに

授業時間内でアウトプットの時間を作るためには、インプットの時間を削るしかありません。私が大切にしている具体的な方策は以下の2つです。

講義の時間を短く

多くの教員が、無駄なことを話しすぎです。生徒は教員が説明しなくとも、課題に向かう中で必要な知識は身につけることができます

例えば、加速度について以下の関係を授業で扱うとします。

加速度 = 速度変化 / 経過時間

加速度:単位時間あたりの速度変化 というものが、この時間に獲得してほしい概念です。この概念を口で何度も丁寧に説明することにどれだけの意味があるでしょうか。一斉講義に時間をかけすぎず、問題演習の時間を増やすほうが、よっぽど生徒の理解は高いです。また、困難を抱えている生徒に対しても、演習の時間に個別の対応ができます。

私は、講義の時間を15分以内にしています。勤務祭の生徒が集中して話を聞いていられるのは、20分程度かなと思います。

聞くより見る、見るよりやる

想像してください。50分間、運動方程式ma=Fの導出と概念を説明される様を。

そりゃあ、生徒も寝るでしょう。興味もない、わからないことを、ノートに書き写す時間。そのとき、彼ら彼女らの脳みそは活動していません。それよりも、眼の前で実験をみる、実際に実験をやるほうが、よほど頭に残ります。

私がどれだけうまく運動方程式の説明をしても、良問を3つほど解くほうが理解が高まります。「ちょっと頑張らないといけない」という課題を用意して、フォローするくらいがちょうどいいのです。授業が終わったら頭が痛くなるくらいの負荷がいいです。

アウトプットの動機づけ

私は講義の時間が15分。残りの35分は、生徒のアウトプットにあてています。35分間、物理に向かわせるには動機づけが必要です。授業の形式に絞って、私が行っている方策を紹介します。

グループワーク

4人一組で机を寄せて行う活動です。生徒も他の仲間と助け合いながら、課題に向かうことができます。5人以上になると、活動に参加できない生徒が高い確率で生まれるので、可能な限り4人までの人数で構成することを勧めます。

仲間と協力できる反面、課題とは異なることで盛り上がる可能性が高い活動でもあります。また、構成するメンバーによって、教室内で差が生じてしまうこともしばしば。教師が机間巡視をして、秩序を保ちつつ、生徒が自由にグループを移動できる環境を整える必要があります。

ペアワーク

隣同士で机を寄せて行う活動です。1対1だと、話さなければどうにもならないという状態を作ることができます。対話の中で考えを発展させることができ、私は多用します。ただ、長時間の活動には不向きです。20秒ほどの活動を講義の中で、複数回取り入れています。

グループワークもそうですが、クラスのレディネスがなければ、空中分解する活動です。初回授業から集団のあり方を伝えて、徐々にスキルアップしていく必要があります。

演習

一人での活動です。主体的、対話的で深い学び(いわゆるアクティブラーニング)が勧められるうちに、一人での学びが、ないがしろにされがちになっています。

深い学びを実践させるには、一人での時間は不可欠です。仲間となら分かるを一人でも分かるにする時間が必要です。

小テスト

生徒自身が自己評価をする機会です。学習した内容を、すぐに確認できる手軽さが重要です。知識はアウトプットしなければ定着しません。アウトプットの機会を複数回用意しましょう。トライアンドエラーを常日頃からできる環境を提供しています。

終わりに

高校の授業でアウトプットの量を増やすためには、授業設計、評価方法、教材、そして学習環境など、様々な要素を複合的に工夫することが重要です。生徒一人ひとりの個性や学習状況に合わせて、最適な指導方法を模索していくことが求められます。

授業の構成は生徒の成長に大きく影響します。私自身、日々学習して小さなアップデートを続けています。去年と同じことをしていては、もったいないと感じてしまうのです。

講義の時間を短くすれば、個別対応できる時間が増えます。一度トライして、難しければ従来の方式に戻しても大丈夫です。少しチャレンジングな授業実践をやってみましょう。

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