【地質学発祥の地】秩父長瀞で地質巡検に行ってきた話

はじめに

「誰が読むんだ」

こんなことは気にせずに書いていこうと思います。

埼玉県は秩父の長瀞に、巡検で行ってきました。

長瀞は、地質学的に全国に名が知られています。

日本地質学発祥の地

巡検は、上長瀞駅から始めました。

そこから歩いて5分ほどで、日本地質学発祥の地と書いてある記念碑が見えました。

この長瀞の地で、ドイツの地質学者ナウマンが長瀞渓谷を発見し、日本の地質学が栄えていったことから、日本地質学発祥の地とされているそうです。

緑色片岩

 記念碑のすぐそばに普段ならば、なんとはなしに通り過ぎるであろう岩ありました。

緑色で1方向に幾重にも線の入った岩です。

これは緑色片岩といい、地下の深いところにあった岩石が高い圧力によって変成したものです。長瀞には多く見られました。

宮沢賢治と虎岩

遊歩道の入り口に、宮沢賢治の詩の記念碑がありました。

「つくづくと「粋なもやうの博多帯」荒川ぎしの片岩のいろ。」

長瀞の岩石から起草した作品でしょう。

虎の模様をした虎岩という地質がすぐそばにありました。

複雑な模様は地下深くで層状になり、地下深くで地殻変動の影響で曲がりくねったことによって生じたものです。

縞模様の薄いピンクの部分はスティルプノメレンという鉱物からできているそうです。

普段なら気にもとめない岩ですが、注意してみれば発見があるものですね。

ブーディン構造

虎岩のすぐ近くではブーディン構造が見られました。

層状の地質にひび割れたような模様がある地質です。

これは地下の圧力によって細かいひびが入り、そこに陥入した岩石によって生まれる構造です。

岩畳でポットホール探し

長瀞の観光地にもなっている岩畳の付近で、ポットホールを探しました。

ポットホールは甌穴(おうけつ)とも呼ばれます。

岩がまだ河床だった頃、渦を巻く急流によって石が回転し、長い年月をかけて岩がすり減って円筒状の穴になったものです。

岩畳で、もっとも大きいといわれるものがこの甌穴で、直径1.8メートル、深さ4.7メートルの大きさだそうです。

水が溜まり奥までは見えませんでしたが、木の棒を入れると1.5mほどの棒がすべて入ってしまいました。

いや、普通に危険です。子どもどころか、成人まですっぽりと入ります。

渓流下り

渓流下りでは川沿いの地質を見ることができました。

傾斜している地層が見事です。

川の浸食で角のとれた地層がよく見えます。

変成岩は構造上1方向にはもろく、雨風や水流で最近崩壊したようで角が残っている岩石も多く見られました。

おわりに

船頭さんにお話を聞くことができました。

かつては子どもが長瀞の渓流を船で登校していたそうです。

その子たちには、自然がとても身近だったでしょう。

技術や情報化が進歩していくことで、生活はより便利になっています。

わたしも技術の進化を享受しているひとりです。

一方で、その便利に、自然と触れ合うことや人とのかかわり合いの場面が削られていることもあります。

スマホを見ることに気を取られ、周りの景色を見る機会が減っています。

人間は見たいものを見る動物だそうです。

おもしろいものを探していれば、そこら中にあるということを再確認しました。

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